藤沢簡易裁判所でできる手続き・管轄・アクセス|藤沢に「家庭裁判所」がない理由と申立先も弁護士が解説

監修:弁護士 佐伯圭佑(神奈川県弁護士会・弁護士法人日栄 藤沢法律事務所)

「裁判所から書類が届いた」「調停を申し立てたい」——そんなとき、藤沢市にお住まいの方がまず思い浮かべるのは、藤沢市役所の隣にある藤沢簡易裁判所だと思います。

ただ、最初に知っておいていただきたいことがあります。藤沢市内にある裁判所は、この藤沢簡易裁判所だけです。簡易裁判所で扱えるのは比較的少額の民事事件などに限られており、離婚調停・遺産分割調停といった家庭の事件や、自己破産・個人再生などの手続き、所定額以上の民事事件は、横浜市内の裁判所まで行くことになります。

この記事では、藤沢駅北口徒歩1分の弁護士法人日栄 藤沢法律事務所の弁護士が、①藤沢簡易裁判所の場所とアクセス、②そこでできる手続き、③裁判所から書類が届いたときの対応、④藤沢に家庭裁判所がない理由と実際の申立先、をまとめて解説します。


目次

藤沢簡易裁判所の基本情報

項目内容
名称藤沢簡易裁判所
所在地〒251-0054 神奈川県藤沢市朝日町1-8
電話0466-22-2684(代表)
アクセスJR東海道線・小田急江ノ島線・江ノ島電鉄「藤沢駅」から徒歩7分
開庁時間平日 午前8時30分〜午後5時(土日祝・年末年始は閉庁)※手続きによって受付窓口・時間が異なる場合があるため、来庁前に電話でのご確認をおすすめします

※出典:裁判所公式サイト(2026年9月時点)

藤沢駅からの行き方

藤沢駅北口からサンパール広場デッキを抜けて道路におりて右手へ向かい、藤沢郵便局方面へ進みます。藤沢郵便局を右手に見て、郵便局前の交差点を渡りしばらく進むと右手にございます。徒歩約7分です。

来庁時の注意

  • 一般の来庁者が利用できる駐車場はありません。公共交通機関のご利用をおすすめします(お車の場合は近隣のコインパーキングへ)。
  • 期日の呼出状がある場合は、指定された時刻の10分前を目安に到着し、書類(呼出状・本人確認書類・関係資料)を持参してください。

藤沢簡易裁判所の管轄区域——藤沢市だけではありません

藤沢簡易裁判所が管轄するのは、次の6市町です(裁判所公式の管轄区域表による)。

藤沢市・茅ヶ崎市・大和市・海老名市・綾瀬市・高座郡寒川町

茅ヶ崎や海老名にお住まいの方の簡易裁判所の事件も、原則として藤沢簡易裁判所が窓口になります。「茅ヶ崎在住なのに藤沢の裁判所から書類が届いた」というのは、間違いではなくこの管轄によるものです。


藤沢簡易裁判所でできる手続き

簡易裁判所は「市民に身近な紛争を、簡易・迅速に解決する」ための裁判所です。藤沢簡易裁判所では、主に次の手続きを扱います。

140万円以下の民事訴訟

訴額(請求する金額)が140万円以下の民事訴訟は、簡易裁判所が第一審の窓口です。貸金の返還、売買代金、敷金の返還、未払い賃料、リフォーム代金のトラブルなどが典型です。140万円を超える請求は、地方裁判所(藤沢管内の場合は横浜地方裁判所)に提起します。

簡易裁判所の訴訟には、地方裁判所にはない特徴がいくつかあります。

  • 手続きが簡略化されており、本人(弁護士を付けない当事者)による訴訟も多く行われています。
  • 民間から選ばれた司法委員が審理や和解の話し合いに立ち会うことがあり、判決よりも話し合い(和解)で終わる事件が多いのも簡裁の特色です。
  • 訴額が140万円以下でも、事案が複雑な場合などには地方裁判所に移送されることがあります。

地方裁判所よりも、本人による訴訟に馴染みやすいですが、法律論や事実認定の争いとなることもあり、答弁書の内容や和解の進め方次第で結果が大きく変わるのは地裁と同じです。

また、すでに消滅時効にかかっている古い借金について、訴訟が提起されることもあります。時効は、債務者の側が「時効を援用する」と主張して初めて効果が生じるもので、裁判所が自動的に考慮してくれるわけではありません。そのため、訴状を放置して判決が確定してしまうと、本来なら援用できたはずの時効を争えなく(少なくとも著しく争いにくく)なるおそれがあります。「古い借金だから関係ない」と思える訴状ほど、放置は禁物です。

少額訴訟(60万円以下)

60万円以下の金銭の支払いを求める場合に限って使える、簡易裁判所ならではの特別な手続きです。通常の訴訟との違いは次のとおりです。

項目少額訴訟通常の訴訟
対象60万円以下の金銭請求のみ金額・内容の制限なし
期日原則1回で審理を終え、その日のうちに判決必要な回数だけ期日を重ねる
証拠その期日に取り調べられるものに限る制限なし
不服申立て控訴はできない(同じ簡裁への異議のみ)控訴できる
利用回数同じ簡易裁判所で年10回まで制限なし

もう一つ大きな特徴として、少額訴訟では、裁判所が被告の資力などを考慮して、分割払い・支払猶予・遅延損害金の免除を命じる判決を出せるという特則があります。「勝ち負け」だけでなく現実的な回収・支払いに落とし込みやすい制度です。

向いているのは、貸したお金・修理代金・敷金の返還など、金額と証拠がはっきりしたシンプルな紛争です。逆に、事実関係に争いが多い事件や証人が必要な事件には向きません。また、訴えられた側(被告)は通常の訴訟への移行を求めることができ、その場合は通常の手続きで審理されます。少額訴訟の訴状が届いた場合、そのまま1回で判決まで進んでよい事案か、通常訴訟に移行して争うべき事案かの見極めが重要です。

なお、少額訴訟は、ご本人が弁護士を付けずに利用することを想定した制度です。請求額が60万円以下の事件では、弁護士に依頼すると費用が回収額を上回る「費用倒れ」になることが多く、当事務所でも申立ての代理は基本的にお受けしていません。ご自身で申し立てる場合の手順や書式は、裁判所の公式サイトで公開されています。

一方、訴えられた側・支払督促が届いた側のご相談は事情がまったく異なります。次の章をご覧ください。

支払督促

債権者の申立てに基づいて、裁判所書記官が債務者に金銭の支払いを命じる(督促する)手続きです。最大の特徴は、書類審査のみで発せられ、法廷が開かれないこと。裁判所は申立人の言い分だけを前提に発付するため、受け取った側の言い分はこの時点では一切反映されていません。

手続きの流れは次のとおりです。

段階内容
① 申立て債権者が簡易裁判所(債務者の住所地)に申し立てる。手数料は訴訟の半額
② 支払督促の送達債務者に「特別送達」郵便で届く
③ 2週間債務者が督促異議を出せば通常の訴訟へ移行。出さなければ④へ
④ 仮執行宣言債権者の申立てにより仮執行宣言が付され、強制執行(差押え)が可能な状態に
⑤ さらに2週間この段階でも督促異議は出せるが、執行は当然には止まらない

債権回収の手段として広く使われており、貸金業者・債権回収会社(サービサー)・家賃保証会社などからの支払督促が藤沢簡易裁判所から届くケースは少なくありません。

ここで特に注意したいのは、消滅時効にかかった債権についても、支払督促の申立て自体は可能であり、実際に、長年動きのなかった古い借金について支払督促が届くケースがあることです。前述のとおり時効は援用しなければ効果が生じないため、督促異議を出さずに放置して仮執行宣言付支払督促が確定してしまうと、時効を争うことは非常に困難になります。逆に、期限内に督促異議を申し立てたうえで時効を援用すれば、支払義務を免れられる場合があります。「なぜ今さらこんな古い借金の請求が?」という書類こそ、放置せずにご相談ください。

なお、申し立てる側として利用する場合の注意もあります。相手が督促異議を出すと通常の訴訟に移行するため、争いになりそうな相手には最初から訴訟を選んだ方が早いことがあります。どの手段が適するかは、金額や相手の資力・出方によって変わります。

受け取った側の対応(期限・放置した場合のリスク)は、次の章「藤沢簡易裁判所から書類が届いたら」で詳しく説明します。

民事調停・特定調停

裁判官(または調停官)と民間から選ばれた調停委員2名で構成される調停委員会が間に入り、話し合いで紛争解決を目指す手続きです。訴訟との違いは次の点です。

  • 非公開で行われ、傍聴されることがありません。
  • 手続きが柔軟で、手数料も訴訟の約半分です。
  • 話し合いがまとまると調停調書が作成され、これには確定判決と同じ効力があります(約束が守られなければ強制執行が可能)。
  • まとまらなければ調停不成立として終了し、解決したければ訴訟を検討することになります。

貸金・売買代金などの金銭トラブルのほか、騒音や境界などの近隣紛争、賃料の増減額や原状回復をめぐる賃貸借のトラブルなど、「相手と今後も関係が続くので、白黒つけるより話し合いで着地させたい」事件に向いています。なお、賃料増減額の紛争のように調停を先に申し立てることが必要(調停前置)とされる類型もあります。

特定調停は、借金の返済条件を債権者と見直すための調停で、債務整理の手法の一つです。もっとも、現在は弁護士が代理人となって行う任意整理や、自己破産・個人再生を選択する方が適しているケースが多くあります。どの手続きが合うかは、任意整理・自己破産・個人再生の比較をご覧いただくか、当事務所にご相談ください。

ここまでのまとめ:金額の小さい民事トラブルと調停は藤沢簡易裁判所で完結します。一方、140万円を超える民事訴訟や自己破産・個人再生は横浜地方裁判所、離婚や相続などの家庭の事件は横浜家庭裁判所が窓口です(後述)。


藤沢簡易裁判所から書類が届いたら——絶対に放置しないでください

藤沢簡易裁判所の名前を検索される方の中で、実務上いちばん急を要するのがこのケースです。届いた書類が「訴状(口頭弁論期日呼出状)」か「支払督促」かで対応が変わります。

放置するとどうなるか

  • 訴状を放置した場合:期日に欠席し答弁書も出さないと、相手の言い分をそのまま認めた判決(欠席判決)が出ることがあります。
  • 支払督促を放置した場合:異議を出さないと仮執行宣言が付され、給与や預金口座の差押えが可能な状態になります。

「身に覚えがない」「金額がおかしい」という場合でも、放置は最悪の選択です。書類が本物かどうかの確認も含め、まず中身を確認してください(実在する裁判所の名を騙る詐欺ハガキも存在します。本物の訴状・支払督促は「特別送達」という郵便で届きます)。

対応の期限

届いた書類対応期限
訴状・呼出状答弁書の提出(期日出頭)記載された答弁書提出期限・期日まで
支払督促督促異議の申立て受け取ってから2週間以内
仮執行宣言付支払督促督促異議の申立て(ただし執行は止まらない場合あり)受け取ってから2週間以内

督促異議を出せば通常の訴訟手続きに移り、分割払いの交渉や言い分の主張ができます。2週間という期限は非常に短いので、届いたらすぐに動く必要があります。

弁護士に相談した方がよいケース

  • 一括では払えないので分割の交渉をしたい
  • 身に覚えがない、金額や利息の計算に納得できない
  • 古い借金の督促が届いた——最後の返済から長期間たっている借金は、消滅時効の援用という手続きで支払義務が消滅する可能性があります。ただし、債権者に安易に電話をかけたり、少額でも支払ったりすると、時効の主張ができなくなるおそれがあります。支払督促は時効直前の債権について駆け込みで申し立てられることもあるため、債権者に連絡する前に、まずご相談ください。
  • 他にも借入れやローンがある——届いた1通に対応しても、返済の状況そのものが変わらなければ、いずれ次の督促が届きます。この場合は個別の対応よりも、借金全体を整理する(任意整理・自己破産・個人再生)ことが根本的な解決になります。

時効の援用も債務整理も、当事務所が日常的に取り扱っている分野です。どの方法が合うかは状況次第ですので、任意整理・自己破産・個人再生の比較も参考にしてください。

当事務所は藤沢簡易裁判所から徒歩圏内にあり、書類をお持ちいただければその場で内容を確認できます(初回相談60分無料)。


藤沢に「家庭裁判所」はありません——離婚調停・遺産分割はどこへ?

意外に知られていませんが、藤沢市内に家庭裁判所はありません。「藤沢家庭裁判所」を探して検索される方が毎月一定数いらっしゃいますが、存在しないのです。

家庭の事件の申立先は「横浜家庭裁判所(本庁)」

藤沢簡易裁判所の管内(藤沢市・茅ヶ崎市・大和市・海老名市・綾瀬市・寒川町)には、家庭裁判所の支部も出張所もありません。そのため、次のような家庭の事件は、原則として横浜家庭裁判所(本庁)に申し立てることになります。

  • 離婚調停(夫婦関係調整調停)
  • 婚姻費用・養育費・面会交流などの調停
  • 遺産分割調停
  • 相続放棄の申述(被相続人の最後の住所地が藤沢管内の場合)
  • 成年後見の申立て など
項目内容
名称横浜家庭裁判所(本庁)
所在地〒231-8585 神奈川県横浜市中区寿町1-2
アクセスJR京浜東北・根岸線「石川町駅」中華街出口(北口)から徒歩約5分

藤沢駅からは、JR東海道線で横浜駅へ(約19分)→ 根岸線に乗り換えて石川町駅へ(約8分)→ 徒歩約5分。乗り換えを含めて片道おおむね45〜50分が目安です。

なお、140万円を超える民事訴訟や自己破産・個人再生の申立先である横浜地方裁判所(本庁)は、家裁とは別の場所(横浜市中区日本大通9・みなとみらい線「日本大通り駅」徒歩1分)にあります。家裁と地裁で庁舎の場所が違う点にもご注意ください。

なぜ人口120万人超の地域に家庭裁判所がないのか

藤沢簡易裁判所の管内人口は6市町あわせて120万人を超えます。これだけの人口を抱えながら管内に家庭裁判所がない地域は異例で、たとえば相模原市・座間市には「横浜家庭裁判所相模原支部」が置かれています。

この不均衡は地元でも問題視されており、地元自治体などの協議会が最高裁判所等に対して藤沢簡易裁判所への家裁出張所の設置を要望しているほか、神奈川県弁護士会も出張所設置を求める署名活動を行っています。新聞でも「人口120万人超なのに家裁がない」と報じられました。

つまり「藤沢に家裁があってもおかしくないのに、まだない」のが現状です。実現までは、家庭の事件は横浜まで足を運ぶ前提で準備する必要があります。

横浜まで行く負担を減らすには

離婚調停は平日の日中に開かれ、1回で終わることはまれです。数か月おきに複数回、横浜まで通うのは、仕事や育児を抱える方には大きな負担です。負担を減らす方法として、次の選択肢があります。

  • 弁護士に依頼する:調停期日への同行・同席に加え、主張書面や資料の準備を任せられます。精神的な負担も大きく変わります。
  • ウェブ会議・電話会議の利用:家事調停でもウェブ会議の利用が広がりつつあります。利用できるかは事案と裁判所の判断によります。

当事務所の弁護士は横浜家庭裁判所・横浜地方裁判所の事件を日常的に扱っています。「横浜まで行くのが大変そうだ」という段階のご相談も歓迎です。


よくある質問

Q. 裁判所には本人だけで行っても大丈夫ですか?
A. 本人だけで対応すること自体は可能です。ただし、答弁書の書き方や調停での受け答えは結果を左右します。少なくとも一度は弁護士に相談し、見通しを確認してから臨むことをおすすめします。

Q. 服装や持ち物に決まりはありますか?
A. 服装に決まりはありません(普段着で問題ありません)。呼出状・本人確認書類・届いた書類一式・関係資料を持参してください。

Q. 裁判所からの呼出しを無視するとどうなりますか?
A. 民事訴訟では欠席のまま不利な判決が出ることがあり、支払督促では差押えが可能な状態に進みます。無視だけは避けてください。

Q. 少額訴訟の申立てを依頼できますか?
A. 請求額の小さい事件は、弁護士費用が回収額を上回る「費用倒れ」になることが多いため、申立ての代理は基本的にお受けしていません(この分野のご相談は有料相談〈30分5,500円〉のご案内となります)。ご自身で申し立てる場合の手順・書式は裁判所の公式サイトで確認できます。なお、訴えられた側・支払督促が届いた方のご相談(分割交渉・時効の援用・債務整理)は無料相談の対象です。お早めにご連絡ください。

Q. 藤沢簡易裁判所で離婚調停はできますか?
A. できません。離婚調停などの家事調停は家庭裁判所の手続きで、藤沢の場合は原則として横浜家庭裁判所(横浜市中区寿町)に申し立てます。

Q. 茅ヶ崎(大和・海老名・綾瀬・寒川)在住ですが、藤沢簡易裁判所から書類が届きました。間違いでは?
A. 間違いではありません。これらの市町は藤沢簡易裁判所の管轄区域です。


裁判所から書類が届いた方・調停をお考えの方へ

弁護士法人日栄 藤沢法律事務所は、藤沢駅北口徒歩1分、藤沢簡易裁判所からも徒歩圏内にあります。

  • 初回相談60分無料(取り扱分野外の法律分野は、有料(30分5,500円)となります)
  • 支払督促・訴状が届いた方のご相談(分割交渉・時効の援用・債務整理)、離婚・相続のご相談は無料相談の対象です
  • 受付は土日祝も9:00〜21:00
  • 横浜地方裁判所・横浜家庭裁判所の事件にも日常的に対応

「届いた書類を持って、まず話を聞いてほしい」で構いません。期限のある書類ほど、早めに藤沢法律事務所へご相談ください。

※本記事の裁判所の所在地・手続き情報は2026年9月時点のものです(出典:裁判所公式サイト)。最新の情報は各裁判所にご確認ください。

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